2025/02/18
ビルの老朽化対策や資産価値の向上を目的とした「ビルリノベーション」への関心が高まっています。しかし、実施にあたっては建物の構造的な制約や工事中の事業継続性など、さまざまな課題に直面することになります。
本記事では、ビルリノベーションの概要やメリット、注意すべきポイントについて解説し、円滑な工事実現のための施工会社選定のポイントまでを詳しく紹介します。
ビルリノベーションについて
建物を再生し新たな価値を創出する「ビルリノベーション」は、特に高度経済成長期やバブル期に建設された築30~50年以上の中小規模ビルを主な対象としています。
リノベーションでは、建物の骨格となるコンクリート構造部分を活かしながら、外装・内装・設備を刷新する手法が一般的です。建物の状態に応じて耐震補強工事や劣化箇所の修繕も併せて実施されます。
また、オフィスビルをカフェやホテルへと転用するなど、建物の用途変更も可能な点が特徴です。既存建物の持つポテンシャルを最大限に引き出しながら、現代のニーズに合わせた機能性と快適性を付加することで、建物に新たな価値を生み出す取り組みと言えるでしょう。
経年劣化した建物を単に修繕するだけでなく、社会やマーケットの変化に対応した空間へと生まれ変わらせる特徴を持つ手法なのです。
ビルリノベーションのメリット

ビルリノベーションの主なメリットは以下の通りです。
安全性の向上
築年数を重ねた建物は構造部材の劣化や設備の老朽化が進行しており、地震や火災に対する脆弱性が懸念されます。
リノベーションでは耐震補強や最新の防火設備の導入により、現行の建築基準法に適合した安全性を確保することが可能です。また、非常用設備の更新や避難経路の見直しなども含め、総合的な建物の安全性を高めることできます。
空室率の減少
外観デザインの刷新や共用部の改修により、建物の印象が大きく改善され、テナント誘致力が向上します。さらに、フロアプランの柔軟な変更や用途転換により、エリアの需要に即した魅力的な空間を創出できます。
時代のニーズに合わせた設備環境の整備は、入居者満足度の向上にも直結するでしょう。
コスト効率
既存の建物躯体を活用することで、建て替えと比較して大幅なコスト削減が可能となります。工期も新築より短縮できるため、工事期間中の収入機会損失を最小限に抑えられます。
また、段階的な改修計画を立てることで、投資負担を分散させることも可能です。
環境負荷の軽減
建物を解体せず既存躯体を活用することで、建設時のCO2排出量と廃棄物を大幅に削減できます。
実際のオフィスビルリノベーション事例では、CO2排出量を68%、廃棄物排出量を94%削減できたというデータもあります。環境配慮型の設備導入と組み合わせることで、運用時の環境負荷も低減可能です。
資産価値の維持・向上
エントランスや外壁、屋上などの改修は、建物の美観を向上させるだけでなく、劣化対策としても重要な役割を果たします。
適切な防水・断熱性能の確保により建物の長寿命化が図れ、中長期的な資産価値の維持・向上につながります。
機能性の向上
従来の画一的なオフィスレイアウトから脱却し、フリーアドレスやコワーキングスペースなど、新しいワークスタイルに対応した空間構成が可能となります。
また、最新の空調システムやIoT技術の導入により、快適性と利便性を大幅に向上させることができます。多様化する働き方や生活様式に柔軟に対応できる空間づくりを実現可能です。
ビルリノベーションにおける注意点とリスク
一方、ビルリノベーションには考慮すべき注意点とリスクがあります。
構造上の制約
既存建物の躯体を活用するリノベーションでは、建物の構造安全性を担保する耐力壁や柱などの主要構造部分に手を加えることができません。そのため、建物の構造上の制約から、理想とするデザインや間取りの実現が困難となる場合があります。
また、共同ビルの場合、外壁やエレベーターといった共用部分の改修には区分所有者間での合意形成が必要となり、個別の要望に応じた自由な改修が難しい状況も生じます。
さらに、建物の形状や階高、設備配管の位置なども、プランニングにおける考慮すべき制約条件となります。
業務への支障
工事期間中は、騒音や振動、粉塵の発生により、テナントの事業活動に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。特に営業中の店舗や執務中のオフィスがある場合、工事による顧客離れや業務効率の低下が懸念されます。
また、工事エリアを避けるための仮移転が必要となる場合、代替スペースの確保や引越し費用など、予期せぬ支出が発生します。
工事に伴う電気・水道の一時停止なども、業務継続性の観点から慎重な計画が求められるでしょう。
予算超過の可能性
築年数の経過した建物では、外観からは判断できない躯体の劣化や配管の腐食など、工事開始後に予期せぬ不具合が発見されることがあります。このような追加工事の発生は、当初の予算や工期を大幅に超過させる要因となります。
また、建材や設備機器の供給遅延、工事中の天候不順なども、工期延長やコスト増加のリスク要因となるため注意が必要です。そのため、想定外の事態に備えた予算の余裕を持たせることや、段階的な改修計画の検討が重要となります。
ビルリノベーションの依頼先を選定するポイント

以下のポイントを考慮しながら、自社のニーズに合った信頼できる施工会社を選定することが重要です。
豊富な施工実績
施工会社の実績は、その企業の技術力と信頼性を判断する重要な指標となります。特に自社が計画しているリノベーションと類似した規模や用途の改修実績を持つ企業を選定することで、スムーズな工事進行が期待できます。また、過去の施工事例を詳しく見ることで、デザインセンスや施工品質、工期やコスト管理の妥当性なども評価できます。
さらに、竣工後の不具合対応やアフターフォローの体制についても、実績から確認することが可能です。具体的な施工事例の見学や、過去の依頼主からの評価を確認することも、選定における有効な判断材料となるでしょう。
法律面の知識
ビルリノベーションは、消防法や建築基準法をはじめとする多岐にわたる法規制に適合する必要があります。特に用途変更を伴う改修では、建築確認申請や各種許認可の取得が求められるため、これらの法的手続きに精通した施工会社を選ぶことが重要です。
また、賃貸ビルの場合、改修工事に関する貸主との調整や契約内容の確認も必要となります。施工会社には、これらの法律面での専門知識と実務経験を有し、円滑な調整を行える体制が整っていることが求められます。
バリューアップ工事は山市成工にお任せください
当社は1948年の創業以来、70年以上にわたり建築業界で実績を重ねてきた総合建設会社です。ビルリノベーションにおいては、生産施設や事務所ビルの改修工事で培った技術とノウハウを活かし、お客様のニーズに応じた最適なソリューションを提供いたします。
建物の構造的な制約や法規制を熟知した専門スタッフが、企画段階から施工、アフターフォローまで一貫してサポート。短工期・低コストながら高品質な施工を実現し、既存建物の価値を最大限に引き出します。まずはお気軽にご相談ください。