原状回復工事とは?工事内容・流れ・注意点を解説

賃貸物件を退去する際に欠かせない原状回復工事。この工事は単なる清掃だけでなく、壁紙の張り替えや設備の修繕など多岐にわたります。しかし、工事の範囲や費用負担についてはトラブルになりやすい側面もあります。

本記事では、原状回復工事の基本的な内容から実施の流れ、注意すべきポイントまで、テナント退去時に知っておくべき情報を詳しく解説します。適切な原状回復工事の知識を身につけ、スムーズな物件引き渡しを実現しましょう。

 

原状回復工事とは?

原状回復工事とは、賃貸物件を退去する際に、その物件を入居前の状態に戻すために行う修繕や改修作業を指します。賃貸契約終了後にオーナーが次のテナントを迎え入れるために必要な工事です。細かい工事内容は契約内容によって異なりますが、国土交通省のガイドラインでも基準が定められています。

 

参照:国土交通省住宅局 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

   

原状回復工事の内容

原状回復工事の内容  

賃貸物件の状態や契約条件によって実施範囲や詳細は異なりますが、一般的に原状回復工事の内容は次のような作業が行われます。

 

壁紙の張り替えや床の傷の修復

壁紙は日常生活で汚れや傷みが生じやすい部分です。長期間の居住により日焼けや変色が起こったり、什器の設置による擦り傷やピン穴などが発生したりします。

床材についても、重い什器の移動による傷や凹み、飲み物などのシミが残ることがあります。張り替えや修復作業では、古い壁紙の剥離、下地処理、新しい壁紙の施工が行われます。床の場合は、状態に応じて部分補修や床材の交換が必要です。

 

空調設備や照明器具の撤去・交換

テナントが独自に設置した業務用エアコンやスポットライトなどの設備は、退去時に撤去が必要です。標準装備の空調設備や照明器具も、使用による経年劣化や故障があれば修理や交換が行われます。

撤去後の壁や天井の補修、電気配線の処理なども含まれます。正常な機能を回復させるだけでなく、安全面での確認も重要な工程となります。

 

間仕切りや造作物の撤去

テナントが営業や業務のために設置した間仕切り壁、カウンター、棚などの造作物は原則として撤去する必要があります。撤去作業では、床や壁、天井に残る固定痕の補修も含まれます。建物の構造に影響を与えないよう慎重に行われ、撤去後の廃材処理も適切に実施されます。

原状回復において重要なのは、建物の基本構造を入居前の状態に戻すことです。

 

クリーニングや塗装作業

全体的な清掃作業は原状回復の基本です。床・壁・天井・窓・サッシなどの汚れ落としや、水回り設備の洗浄・消毒が行われます。特に厨房や給湯室などは油汚れや水垢の除去が重点的に行われます。

塗装が必要な箇所では、下地処理から仕上げまでの工程が実施されます。汚れや傷みの程度によっては、部分的な補修から全面的な塗り直しまで対応が異なります。清潔で衛生的な環境を次の入居者に提供するために不可欠な作業です。

   

原状回復工事の流れ

原状回復工事の具体的な手順は以下の通りです。

 

賃貸借契約書の確認

賃貸借契約書を確認し、原状回復工事の範囲や条件を明確にします。工事区分や期限、施工可能な日時などを確認し、不明点があればオーナーや管理会社に相談。契約書に記載されている特記事項や例外規定も注意深く確認することで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。

原状回復の責任範囲を正確に把握することは、適切な工事計画を立てる上での第一歩となります。

 

オーナーまたは管理会社との打ち合わせ

修繕箇所や費用負担についてオーナーと合意形成を行います。打ち合わせ内容は文書として記録し、トラブルを防ぐようにします。具体的な工事内容や使用する材料、色調などについても話し合い、双方の認識を一致させることが重要です。

協議の中で生じた変更点や追加事項も漏れなく記録に残すことで、後々の紛争リスクを低減させることができます。

 

現地調査

施工業者に現地調査を依頼し、内装や設備の状態を確認。修繕が必要な箇所や施工内容を確定し、見積もり作成の基礎とします。専門家の視点から経年劣化と故意過失による損傷を区別し、適切な修繕方法を検討します。

現地調査では写真撮影や寸法測定も行い、正確な施工計画を立てるための情報を収集します。調査結果は詳細なレポートにまとめられ、次のステップの基盤となります。

 

見積もりと契約締結

業者から提出された見積もりを確認し、必要であれば調整を行います。見積もり内容に納得したら契約を締結。見積書には工事項目ごとの詳細な費用内訳が記載されているか確認し、不明な点は質問しましょう。

複数の業者から見積もりを取得して比較検討することも賢明です。契約書には工事内容、期間、保証、支払条件などの重要事項をすべて明記し、双方が合意した内容を明確に文書化します。

 

工事の実施

壁紙や床材の張り替え、塗装、設備の撤去・修繕などを行います。工事範囲は物件によって異なりますが、入居時の状態に戻すことが目標です。施工中は定期的に進捗状況を確認し、問題が発生した場合は迅速に対応します。

予期せぬ状況が見つかった場合は、オーナーや管理会社と協議して対応方針を決定します。工事の質を確保するために、専門技術を持った作業員による適切な施工管理が行われます。

 

工事完了・検査

工事が完了したら検査を行い、オーナーに引き渡します。必要に応じて修正作業を行い、最終確認後に完了となります。検査ではオーナーや管理会社立会いのもと、工事内容が契約通りに実施されているか細部まで確認します。

不備があれば速やかに補修し、満足のいく仕上がりになるまで対応します。最終的には工事完了報告書を作成し、すべての関係者の承認を得ることで原状回復工事は正式に完了します。

   

原状回復工事における注意点

原状回復工事における注意点  

原状回復工事の際には、以下のようなトラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。

 

責任範囲の認識違い

借主と貸主の間で、原状回復の範囲や損耗の責任について意見が食い違うことがあります。国土交通省のガイドラインでは通常の使用による経年劣化や自然損耗は貸主負担とされていますが、解釈に幅があり争点となりやすい部分です。特に壁紙の変色や床の擦り傷など、日常生活で生じる損耗の判断基準が明確でないケースが多く見られます。

トラブルを防ぐためには、入居時に物件の状態を写真や文書で記録しておくことが重要です。また、退去時の立会い確認を丁寧に行い、修繕箇所と費用負担について双方が納得いく形で合意形成を図ることが求められます。

 

工事スケジュールの問題

退去日までに工事を終えられず、急ぎで対応した結果、追加費用が発生することがあります。原状回復工事には想定以上の時間がかかることが多く、特に壁紙の張り替えや設備の修繕などは専門業者のスケジュール調整が必要です。退去予定日の直前に工事を依頼すると、業者の手配が難しくなったり、急ぎ料金が発生したりする可能性があります。

また、工事中に予期せぬ問題が発見されることもあり、工期が延長されるケースもあります。余裕をもった計画立案と、退去の1ヶ月前程度からの準備開始が望ましいでしょう。業者との綿密な打ち合わせを行い、作業工程と所要日数を明確にしておくことで、スケジュールの問題を回避できます。

   

原状回復工事は山市成工にお任せください

山市成工は山梨県甲府市に本社を置く総合建設会社で、1948年の創業以来70年以上にわたり地域の建築業界で重要な役割を果たしています。当社は原状回復工事において豊富な実績と専門知識を持ち、お客様のニーズに応じた最適な施工方法をご提案可能です。

まずは一度、お気軽にご相談ください。現状の問題を把握するための調査から、適切な改修・修繕計画のご提案まで、責任を持って対応いたします。

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